薬剤師認定制度およびその実施母体の紹介
―認定薬剤師を志向する方のために
当認証機構は、認定制度の質的評価を行ない、基準に適合する制度を認証し公表する機関であり、薬剤師個人の認定は行なっていないが、問い合わせも多いことから、薬剤師の認定制度の現状を紹介する。
生涯学習の必要性 薬剤師は薬の専門家として日々変化する環境に対応して職責を果たすために、生涯を通じて継続して学習することが必要である。生涯研修は薬剤師の社会的責任と言って良い。
生涯学習の必要性 薬剤師が生涯学習に努めていることを証明するために、近年各種の認定が行なわれるようになってきた。一定の研修受講実績に基づいて認定をするという原則はすべて同じであるが、研修や認定の実施母体により、認定の目的、分野、条件等がさまざまであり、また半ば公的なものから全く私的なものまで種類が多い。
ここで紹介する認定制度 ここでは、非営利中立の実施母体が、継続的に運営している研修と認定の制度で、薬剤師の資質向上を目的とし、薬剤師であれば誰でも参加できる認定制度の紹介を行ないたい。したがって、営利企業やその団体が、所属薬剤師を対象として行なう企業内研修や認定、あるいは特定の職域に有効な資格のための研修や認定は取り上げない。
生涯学習認定制度の概略
生涯学習認定制度をカテゴリーで次のように分けることができる。
生涯研修認定制度:薬剤師業務の全般にわたって能力・適性を向上させるために、学習を継続して行っていることを証明するもの。特定領域認定制度を含む。
専門薬剤師認定制度:特定の対象や疾病の領域で他の医療職とチームを組んで患者の安全確保に貢献するための能力を保証するもの。
実施母体の概略
1.生涯研修認定制度
認証を受けた生涯研修認定制度:薬剤師認定制度認証機構により認証された認定制度リストに示されたとおり、現在日本薬剤師研修センター、東邦大学薬学部、薬剤師あゆみの会、共立薬科大学の4機関が、認証を取得して生涯研修認定制度を実施している。それぞれのホームページにアクセスして、制度の詳細あるいは研修プログラム、認定の条件等を見ることが出来る。認証を受けた制度は、すべての薬剤師に対して参加が公開されている。取得した単位も原則として相互に互換性があるが、認定を受ける条件として、一定単位まで自制度の単位を取ることを求めている場合もある。
他の生涯研修認証制度:主に団体の所属会員を対象にした認定制度である。日本医療薬学会は詳細がホームページに公開されている。日本病院薬剤師会の認定制度については、各都道府県の病院薬剤師会に問い合わせるとよい。
特定領域認定制度:認証を受けた特定領域認定制度は未だないが、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が共同で実施している漢方薬・生薬認定薬剤師制度がこのカテゴリーに入る。
2.専門薬剤師制度
日本病院薬剤師会が、感染制御専門薬剤師、がん専門薬剤師の第1回の認定結果を公表しているが、過渡的な運営でありまだ学習指針や認定基準等の詳細をホームページ上で見ることはできない。
3.その他の薬剤師認定制度
東北大学が、21世紀COEプログラムとして行なっている臨床試験の専門家養成コースを修了した薬剤師に対する認定制度(COE/MCS認定制度)である。
他学会・団体関連の認定制
他学会等が実施する認定制度で、薬剤師が参加できるものがいくつかある。
CRC認定制度
日本臨床薬理学会によって行われている認定である。医薬品の臨床試験の実施に際してCRC(治験コーディネータ)としての専門家と呼ばれるにふさわしい実力を持つ者を日本薬理学会認定CRCとして認定する制度である。
栄養サポートチ−ム(NST)専門療法士認定制度
日本静脈経腸栄養学会が実施している栄養サポート専門栄養療法士(NST専門療法士)認定制度である。
糖尿病療養指導士
日本糖尿病療養指導士認定機構が実施している。糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を有し、医師の指導の下で患者に熟練した療養指導を行うことのできる医療従事者を糖尿病療養指導士に認定する制度である。
認定栄養情報担当者(NR)
独立行政法人国立健康・栄養研究所が、健康・栄養食品について、正確な情報・知識を有していることを試験して認定するものである。