(財)日本薬剤師研修センター 巻頭言 2004年6月 

評価社会におけるCredentialsの活用
  ---法改正を生かすために---
理事長   内山 充
学校教育法と薬剤師法の改正が実現する。昭和24年に薬剤師の免許取得に国家試験が課せられたと同じくらいの画期的変革といえよう。しかし、法規の改正ですべてが終ったわけではない。変革の本来の目的は、薬剤師全体を、処方せん調剤や医薬品管理や患者の安全確保に適切に対処し、さらにチーム医療に貢献し、薬物療法の開発推進に寄与できるような薬剤師にすることにある。教育年限や受験資格が変わっても本来の目的が達成できなければ画竜点睛を欠くことになる。

残された緊急かつ重要な課題は、第1に旧来の教育を受けた既存の薬剤師のレベルアップである。自らの習得した大学教育を不十分と言い切って長い間教育改革を熱望した以上、このままでは世間に安心して信頼してはもらえない。患者ニーズに応えられる専門職として、日常の業務に自信を持てるまでの資質を身につける意欲を持って生涯学習に励み、その客観的な証明として認定証を取り、それをもって世の中の人たちにアピールする必要がある。生涯学習と認定取得を義務化すべき時期が到来したと思われる。

第2には、教育制度上の改正が実質的な大学教育内容の改善になっていることの確認である。平成18年度から6年教育の体制がスタートするが、1年次の教育から新たな認識と方略が実施されなければ受験資格に見合う教育とはいえないから、大学はそれを、学内外に透明性をもってアピールし評価を受ける必要がある。一方、最近新しい薬科大学が多数開校し競争原理の導入としては歓迎されるが、しかし、安易な考えで開校したものであれば特に厳正な評価が必要となろう。薬科大学に対する第三者評価機関を一日も早く実質的に立ち上げる必要がある。大学経営者の薬剤師教育に対する取り組みの意欲、カリキュラムの狙いと独自性、実務実習の指導者および施設の状況など、大学のステータスを示す重要なファクターについて望ましい水準を満たさずに薬剤師教育ができるなどと考えてはならない。

第3に、薬剤師の医療職としてのアイデンティティ確立である。医療技術と薬物療法の進歩や、疾病構造の変化と高齢社会化に伴い、薬剤師がチームの一員として患者中心の医療に参画することが求められるようになってきた。薬剤師参加のメリットとして患者の安全と薬物治療の効果を増し、さらに薬物の絡む医療過誤を防ぐことが期待される。そのために、たとえばがん化学療法などの特定の領域で他の医療職の期待に応えられるような専門薬剤師の養成と、その職能を客観的に評価して保証する制度が必要である。

このように薬剤師の新時代を迎えて、いろいろな場面で適切な評価体制が整備されることとなろう。個人も組織も団体も進んで客観的評価を受け、得られた認証(Credentials)を、知の世紀といわれる21世紀におけるパスポートとして活用し、医療職の一員として知識社会の発展に貢献し、かつ自らも多くを学び取るよう努めたいものである。