(財)日本薬剤師研修センター 巻頭言 2003年11月

CPDのための指標項目と評価表
理事長 内山 充
 去る9月18日から4日間、シアトルでACPE(アメリカ薬学教育協議会)主催により、第10回薬学生涯教育コンファレンス(Conference on Continuing Pharmaceutical Education)が開かれた。医療を志向した高度な薬剤師教育を実施しているアメリカでも、薬剤師の業務を遂行するためには生涯教育を欠かすことはできないということで、隔年、生涯教育実施機関(ACPEにより承認を受けている機関)とACPEが、より良い方法をめぐって討議するために行うコンファレンスである。これに日本から参加した若手病院薬剤師から幾つか情報がもたらされた。

 ここ数年来、欧米の薬剤師生涯学習の方向が、受動的でなく能動的で、しかも個々の薬剤師業務に適する研修を目指して、Continuing Education(生涯教育)からContinuing Professional Development(生涯職能開発、専門性の向上)へと移っていることは良く知られている。CPDとは、2002年9月のFIPにおける定義によれば「個々の薬剤師が、専門職としての能力・適性を常に確保するために、生涯を通じて知識、技術、態度を計画的に維持、発展、拡充するという責任行為」である。

 そして、具体的にCPDの過程は、自己査定⇒計画立案⇒実行⇒内容記録⇒自己評価 である。すなわち個人個人に必要なものを自己判断しそれを達成するために研修を自分で立案、実行、記録、評価するというものであり、あくまでも自己責任により行われるものだという。

 国際学会などでの討議から見ると、生涯学習の評価には試験などによる外部評価も可能であるが、あくまでも基本は自己評価であり、Subject(研修会主体と内容の)評価、Object(研修の客体すなわち受講者の理解度等)評価、及びImpact/Outcome(影響と効果の)評価から成り立つという。

 これらから見ると、当薬剤師研修センターが平成8年以来普及に努めている「生涯研修の指標項目」は、多様化した薬剤師業務の中での自己診断と学習立案に最適であり、平成12年以降研修会ごとに参加者に配布している「評価表」は、研修会内容と受講者の学習結果を受講者自身が評価するものであるので、両者ともCPDのためにまさに正鵠を得ていたのだと大きな安堵感を覚える。

 ACPEの責任者が上記「生涯研修の指標項目」を見て、アメリカにもない優れたものであるので導入を考えたいと言ったということであり、これも嬉しい知らせであった。両者とも当センターホームページに掲載してあるので是非活用をお願いしたい。