(財)日本薬剤師研修センター
理事長 内 山 充
現在わが国で行なわれている薬剤師に対する認定制度はさほど多くはないが、流動性の活発な競争社会への変化が予測される今世紀には、薬剤師の業務に関連する新しい観点からのさまざまな認定制度が生まれると思われ、歓迎すべきことである。しかしそれは無秩序な乱立であってはならず、目的、体制、内容等から見て薬剤師の生涯にわたり適性・能力を維持し保証するのに役立つものでなくてはならない。 アメリカでは、かなり古くからさまざまな認定制度が多くの薬学関連団体の責任のもとで展開されているが、わが国における薬剤師の認定制度が秩序ある発展をするためには、計画段階から認定制度の種類や性格による類別をはっきりと理解し、具備すべき条件を認識しておくことが必要である。 そのための参考として、引き続き、アメリカCCP(薬学称号制度協議会)による現行のアメリカにおける認定制度の類別を紹介しつつ、わが国の薬剤師認定制度の今後の整備を考察したい。理解の助けとして今回も、前号までに載せたまとめの表を再掲する。略号一覧は今回は省略するが文中で説明する。 前号では、まとめの表中の④について説明したので、次いで①~③を取り上げる。 ①~③の類別 まず①と② は、 受講者が意識的に選んだ特定の課程あるいは課題に関して研修を受けるか自己学習を行い、それに対して与えられる認定である。③はそ うではなく、主として自らの職域で業務として行なった業績あるいは経験に対して与えられる認定あるいは称号である。 ①と② を大 まかに区別すれば、①は、 長期の研修課程のプログラムを修了して、その分野での知識と技能が備わった薬剤師を認定する制度であり、②は、 ある特定の比較的狭い薬学実務領域で、あるレベル以上の能力と適性を持ったことを試験などにより確かめて証明する認定である。 前にも述べたが、わが国でいえば、①には 当研修センターが行なっている厚生労働省の実務研修制度や、同じく厚生労働省の治験コーデイネータ(CRC)養成研修が相当し、②には 、日本生薬学会と当研修センターの共同で行なわれている漢方薬・生薬研修が分類される。 ①②の よ うな特殊な目標を定めた研修の認定は、④の一 般生涯研修とは分けて考えるのが妥当のようであり、アメリカでも免許更新のための生涯研修とは区別している。当研修センターの認定制度においても、特定の目的を持ちそれに独立に認定あるいは修了証が発給されるものについては、研修認定薬剤師制度の単位は発給していない。 ③に分 類される業績や経験に対する認定も同じく④とは 区別される。したがって、OJTや論文発表や学会講演は、わが国における医療薬学会や臨床薬理学会のような③に該 当する認定の対象にはなっても、④に当 たる当センターの認定制度の単位の対象とはならない。①付加研修*課程修了の認定(Additional Training) ①に属 する3種の認定はいずれも長期間にわたり特定のプログラムあるいはガイドラインに沿って行なわれる研修である。 |