(2001年4月)

薬剤師の認定制度の整備に向けて(1)
  −アメリカの称号制度との対比から−

(財)日本薬剤師研修センター
     理事長 内 山 充

 薬剤師の能力・適性を生涯にわたり維持して、業務の質を保証するために、我が国は勿論のことどの国においても、生涯を通じて薬剤師の色々な学習に対して資格や、証明書、認定証などが発給されている。  

 1999年に、アメリカにおいてCCP(Council on Credentialing in Pharmacy, 薬学称号制度協議会)が設立され、その後CCPより、薬学の卒前教育から薬剤師の生涯研修までを含めて、アメリカで現在使われている各種の称号を分類整理した「白書」が2000年9月に公表されたことは、本ニュースの前号で触れたが、本号より順次その内容を紹介しながら、わが国の薬剤師に関連する制度や称号の位置づけを考えたい。  

 別紙の図(pdfファイル)は「白書」の内容をまとめたものである。この図はアメリカの現状を表しているが、基本の段階構成はわが国も同じといえる。ただし条件や運用には大きく異なるところがある。本号では大筋で日米を対比して、わが国の認定制度の意味付けをしたい。各項目の詳細は必要に応じて次号以降に紹介する。

 教育段階としては、アメリカでは薬剤師免許の受験資格が、昨年6月からPharmD取得者すなわち基礎薬学2年間+専門薬学4年間の6年修了者のみとなった。受験資格と関係なく薬学研究者としての修士、博士の課程は勿論存続している。

 実務参入段階の薬剤師免許は、アメリカは州の資格、我が国は国家資格である。

 免許取得後の生涯にわたる就業中の研修に対する称号については、のように4種類に分かりやすく分類されている。我が国の現行の制度もそれぞれに分類される。

  1. Additional Training(付加研修)は、特定のプログラムを持つ研修課程を修了したものに与えられる認定である。アメリカでは表中に示すようにいろいろな団体がこれを行っている。我が国では、当研修センターが行っている「厚生労働省薬剤師実務研修事業」がResidencyに当たる。国立大学病院の卒後研修はプログラムが基準化されればこれに近い。当センターの「治験コーデイネーター養成研修」はTraineeshipに当たる。

  2. Certification(証明)は、特定のカリキュラムを履修して試問や試験に合格した人に与えられる認定である。特定の疾病や薬学的ケアあるいは専門分野や診療科などを対象に専門薬剤師を養成するコースが含まれ、大いにわれわれの参考になる。ここには当センターの「漢方薬・生薬研修会」が該当する。今後、需要の多い分野を対象に我が国でもさらに計画を広げたい。また、当センターばかりでなくしっかりとした基盤を持つ学会や団体の意欲的な企画も期待したい。

  3. Peer Recognition(ピア認証)は、経歴や実績に基づいた仲間内の認証制度であり、アメリカで代表的な薬剤師団体や大学協会等がステータスの高いフェローとして認定している。我が国では、現行の手続きの上では医療薬学会の認定制度、臨床薬理学会の認定制度がこれに該当する手続きである。

  4. Continuing Education(生涯研修) 多くの実施機関により提供される研修の中から免許更新に必要な一定の研修単位を取るために自己選択で研修を受ける。その中で、短い一定期間で特定の知識・技能を育成するために行われるものをCertificate Programという。いずれも研修実施機関はACPEによる認証を必要とする。わが国では、当センターの「研修認定薬剤師制度」および日本病院薬剤師会の認定制度が、免許更新と同じ効果を期待して、能力や適性の維持に役立つようにと設けた制度であり、前者の一般生涯研修である。